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インタビュー


大江・田中・大宅法律事務所が目指す「多様性」と「求める人材像」とは

大江・田中・大宅法律事務所には代表3名のほか、個性的な弁護士が複数在籍しています。では、所属する各弁護士は、どのようなきっかけで、何を期待して大江・田中・大宅法律事務所にジョインしたのか?

ここでは2人の弁護士と代表の大宅弁護士を招いて、新たな環境での働きやすさや、今後のキャリアプランについて聞きました。彼らが求める自己成長とは、どのようなものなのでしょうか?

プロフィール
・大宅達郎(おおや・たつろう)※写真右
弁護士。取扱案件は企業法務全般、各種交渉代理人、事業再生、事業承継、M&A・ジョイントベンチャー取引支援、ベンチャー支援、ライセンス等知的財産権関連業務、海外進出支援、民事・商事紛争解決等。

・黒羽倫子(くろばね・のりこ) ※写真左
弁護士。取扱案件は倒産事件、労働事件、相続、建築関係、一般企業法務、一般民事。

・酒井裕(さかい・ゆたか) ※写真中
弁護士。取扱案件はベンチャー支援、事業承継、M&A、持株会社化、海外取引、その他企業法務全般。


“掛け算”の組織づくりを目指したい

――黒羽先生、酒井先生のお二人は、どのような経緯で大江・田中・大宅法律事務所に参画することになったのでしょうか。

酒井 私の場合は、所属していた八木&パートナーズ法律事務所が、今回、東京双和法律事務所と大江忠・田中豊法律事務所と統合したのがきっかけです。また、統合前に大宅さんと二人で食事をしながら、事務所の展望や統合の意義などを話し、意気投合したことで、より主体的に統合を捉えることができました。

黒羽 前の事務所に在籍していた時に、ある管財事件で大宅先生から声をかけられ、管財人代理として一緒に仕事をしたことがご縁の始まりでした。その案件では阪井先生も一緒だったのですが、学ぶことが非常に多く、機会があればぜひ皆さんと一緒に働きたいと考えていました。そのような中で、新たに事務所を設立すると聞き、お二人に相談する中で、大江・田中・大宅法律事務所への入所を決意しました。

――大江・田中・大宅法律事務所にどのような期待を持って入所されましたか?

黒羽 大宅先生は、日頃から人格的成長や将来のキャリアデザインの重要性を意識されていて。やはり弁護士というのは人を相手にする仕事ですから、私も人としての幅を広げながら、常に柔軟に対応できる弁護士になりたいと考え、事務所で働いています。

酒井 私は、大宅先生が「弁護士の仕事をもっと仕組み化したい」と語っていたのが印象的で、そのような事務所を一緒に作れることが入所の決め手になりました。単に分野ごとのスペシャリストを複数抱える“足し算”の組織よりも、個々の知見が「仕組み」を通じて有機的に結合して、弁護士の頭数以上の価値を提供することができる“掛け算”の組織をつくりたいという想いは、私自身も以前から望んでいたことでした。目指すものが完全に一致していたんです。

大宅 組織づくりのノウハウは民間企業のほうが圧倒的に進んでいるので、良い部分を積極的に取り入れて、新しい法律事務所の形を目指したいですね。たとえばMission Statementを掲げているのも、法律事務所としてはまだまだ少ないほうだと思います。酒井先生はベンチャー企業にも在籍し、経営管理部門の責任者をしているので、そのあたりの感覚は近いと思います。

黒羽 短期間ではありますが、私が実際に働いていて感じるのは、大江・田中・大宅法律事務所には得意分野や個性が異なるメンバーが揃っていること。そのため、ひとつの案件と向き合うにあたっても、採れる手段が多いと感じています。

――働きやすさ、働く環境についてはいかがでしょう?

酒井 法律事務所に所属する我々は個人事業主なので、本来、働き方は各自の判断と責任で決めていくものだと思います。しかし、中には、たとえば仕事が終わっていてもなんとなく先に帰りにくい雰囲気があるなど画一的な働き方を求められる法律事務所があるのも事実です。その点、大江・田中・大宅法律事務所は、働き方を一方的に決められることはありません。

私の場合、企業にも在籍しているので、入所前に希望する働き方と事務所が期待する貢献の仕方について協議をしていますし、働き方に対する柔軟性や自由度はかなり高いと思います。

黒羽 そうですね。私はけっこう遅くまで仕事に没頭してしまうタイプなので、自由な雰囲気があるのはありがたいです。

大宅 私は、最終的に働き方を決めるのは個人だと考えていて、個々の弁護士が主体的に行動する組織でありたいのです。自分の有限の時間をどうマネジメントするかはすべて自分次第。他方で、組織として期待する役割や貢献も当然あります。

大事なことは、お互いに期待する点をクリアにした上で、条件面について合意し、一緒にやっていく、というスタンスだと思います。そうした個別に調整可能な環境が、結果的に多様性の溢れる組織づくりにつながっていくのではないでしょうか。

▼様々なバックグラウンドを持つ者同士、面白さを共有しながら働きたい

――そもそも皆さんが弁護士を目指したきっかけは何だったのでしょうか。

黒羽 私は子どもの頃に弟を交通事故で亡くした体験が大きいです。その際、民事裁判を受けてくれる弁護士がなかなか見つからず苦労したのですが、ようやく見つけたある女性弁護士の先生が、最後まで親身に私たち家族に寄り添ってくださって……。私もそういう弁護士になれればいいなと思い、この世界を志しました。

ただ、大学在学中はどうしても自信が持てず、ずっと「私なんかが司法試験に合格できるわけがない」と弱気な姿勢で受験し続けて、何度も不合格になりました。そこで一度は弁護士資格を諦めて会社に就職したのですが、一般社団法人を設立して法教育に携わるうちに、再び弁護士になりたいという気持ちが湧いてきて、ロースクールに入り直しました。

大宅 黒羽先生は、人一倍苦労して弁護士になられていますよね。でも、そのような経験もあって、弁護士としてとても大切な「人としての魅力」が備わっていると思っています。

酒井 バックグラウンドでいうと、私は少年時代をアメリカで過ごした帰国子女なんです。その影響か、日本的な集団主義のようなものとは無縁で、組織に依存する人生は歩みたくないという思いがありました。そこで選択肢をいろいろ考えてみた結果、最も興味を持てて肌にあったのが法律の世界でした。

大宅 酒井先生も、法律事務所以外のキャリアを経験しているんですよね。それも法務ではなく、経営側で。これも珍しいケースではないでしょうか。

酒井 そうですね。一度、大手法律事務所にお世話になったあと、転職して大手メーカーの経営企画室に勤務しました。企業法務を数多く手掛けているうちに、経営に興味が湧いてきたのが転職のきっかけです。弁護士はお客さんの経営判断をサポートする材料を提供するのが仕事ですが、様々な要素を考慮しながら実際に経営判断を行う側にも面白さがあるように感じたんです。

その後、再び法律事務所に戻って弁護士として働きながら、今も宇宙関連事業を手掛けるベンチャー企業の経営に携わっています。こういうキャリアはたしかに珍しいかもしれませんね。ちなみに、ベンチャー企業ではプレゼンテーションの機会が多いので、弁護士が苦手とするパワーポイントを使ってのプレゼンテーションは得意ですよ(笑)。

大宅 私はこういうユニークな人について常にアンテナを張っていて、なるべく縁を逃さないようにしているんですよ。実際、大江・田中・大宅法律事務所には、ほかにも大手証券会社で、フィナンシャル・アドバイザー(FA)として働いた弁護士もいます。

こうして様々な知見を持った人材が集まっていることは、法律事務所として間違いなく強みだと思います。そして、そのような多様なメンバーがそれぞれの資質を伸ばし、自らが描くキャリアデザインに合わせて成長できるような仕組みづくりを進めていきたいと思っています。皆、弁護士になることがゴールなのではなく、弁護士としてどう成長していくかが大切なのだと考えています。

――今後のキャリアデザインについて、皆さんはどうお考えでしょうか。

黒羽 まだまだ目先のことで精一杯の状況ではあります。しかし、この事務所には本当に幅広い分野のエキスパートが揃っていて、何でも気軽に相談しやすいのがありがたいです。せっかくこういう環境があるので、今はとにかく周囲から学ばせていただくことが第一ですね。その結果として、自分らしさを生かしながら少しずつ幅を広げていければと思っています。

酒井 こだわっているのはやはり、先ほども触れた弁護士業務の仕組み化です。そのための具体的な手立てはこれからですが、少なくとも改善しなければならない課題は明確に見えています。たとえば、法律事務所の売上というのは現状、擁する弁護士の数で上限がほぼ決まります。

しかしそうではなく、何らかの「仕組み」を組み込むことで、弁護士一人ひとりの価値以上の価値を事務所として提供して、もっと大きな仕事ができるようになるのではないかと考えているんです。現に今、私がベンチャー企業で培った経験を活かして、大宅先生と企業の成長支援プログラムを策定し実践をしていて、これを仕組み化して展開できると面白いんじゃないかと思っています。

――大江・田中・大宅法律事務所には今後もさらなる人材がジョインすることになるかと思います。最後に皆さんにとっての、一緒に働きたい人材像を教えてください。

酒井 ダイバーシティを掲げている事務所ですから、どんなバックグラウンドを持つ人材がいても違和感がないくらい、様々な人が集まるといいですね。さらに言えば、私や大宅先生が目指している仕組みづくりに面白さを感じてくれる人であれば、なお理想的です。

黒羽 ありきたりですが、明るくて元気な人がいいですね。その上で、個人の尊厳を大切にできる人であれば、必ずしも向いている方向が同じでなくてもいいと思います。時にはぶつかり合うことがあっても、他人を尊重できる人であれば、そこから新しい発見をして、お互いに成長していくことができると思うので。

大宅 私は、とにかくキャリアに悩んだら気軽に相談してもらいたいですね。うちの事務所に入る前提でなくても構いません。お話することで、互いに見えてくるものがきっとあるはずなので。それが良いご縁につながれば嬉しいですね。